開業

開業したら事業用口座を開設した方がいい理由

sada_blog

フリーランス税理士として活動している「やっぴー/佐田一紀」です!

「自由」が欲しくてフリーランスになった方向けに「AI・ITによる効率化」「お金の話」「PCガジェット」について情報発信しています!


フリーランスとして開業するときによくある悩みの一つに、「事業用の銀行口座を開設するべきかどうか」というものがあります。

フリーランスは比較的小規模な取引から始まることが多いので、最初はプライベートの銀行口座で入出金を管理しはじめることも可能です。

ただ、私は開業したらすぐに事業用口座を開設することをおすすめします。

この記事では、実際に税理士として多くの個人事業主の確定申告を行ってきた経験をふまえて、その理由をわかりやすく解説します。

事業用口座を開設した方がいい理由

結論から言うと、事業用口座を分けるべき理由は大きく分けて2つあります。

  1. 事業の収支(儲かっているかどうか)がわかりやすい
  2. 確定申告のための会計処理が楽になる

なぜこれらが重要なのか、詳しく見ていきましょう。

事業収支がわかりやすい

事業の収入と支出を1か所の口座にまとめることで、「今、どれくらい儲けが出ているのか」が一目でわかるようになります。

見方は非常にシンプルです。

  • 預金残高が増えていれば黒字
  • 預金残高が減っていれば赤字

このように、通帳を見るだけでざっくりとした経営状態を把握できます。

プライベート資金への移動判断もしやすい

また、事業用口座に残っている残高(これまでの利益)を見ることで、「どのくらいまでなら生活費としてプライベート口座に移してもいいか」の判断が簡単になります。

例えば、「向こう半年分の支出予定額である150万円が残っていれば、急な出費があっても安心」というルールを決めたとします。

この場合、毎月末に口座を確認し、150万円を超えている分だけをプライベート口座に移せばよいことになります。

もし事業用口座を持っていない場合、プライベートの入出金(生活費や趣味の支払いなど)と事業の入出金がごちゃ混ぜになります。これでは、事業単体でいくら儲かっているのかを通帳から把握するのは困難ですし、いくら使っていいのかの判断にも迷いが生じます。

事業用口座を持つことは、どんぶり勘定を防ぎ、家計と経営を守る第一歩だと私は考えています。

確定申告の会計処理が楽になる

フリーランス(個人事業主)が毎年しないといけない「確定申告」。

確定申告書を作成するには、事業所得を計算するために「事業に関係のある入出金」を会計ソフトに入力(仕訳)する必要があります。

事業用口座があるかないかで、この作業の手間が大きく変わってきます。

「自分で確定申告をする場合」と「税理士に記帳代行を依頼する場合」に分けて、そのメリットを確認してみましょう。

自分で確定申告をする場合

もし事業用口座を持っていない場合、一つの銀行口座に「プライベートの入出金」と「事業の入出金」が混ざることになります。

会計ソフトに入力する際、一つの口座から「事業の分だけ」を抜き出して仕訳をすることはできません。

そのため、すべての取引をチェックし、プライベートと事業を分けながら入力する必要があります

さらに面倒なのが、プライベートな入出金の処理です。

当然、私的な支払いは事業の経費にはなりませんが、会計上は通帳の入出金のつじつまを合わせるために「事業主勘定」という科目を使って入力をする必要があります。

具体的には、以下のような仕訳が必要になります。

例:プライベートの日用品代10,000円を支払った

借方金額貸方金額
事業主勘定10,000円普通預金10,000円

※貸方に普通預金が来るときは「出金」を意味します。

この「事業主勘定」は、事業所得の計算上は収入にも経費にもならない科目です。

つまり、確定申告の計算結果には何の影響もない無意味な取引なのに、入力作業をしなければならないのです。

ただでさえ面倒な会計ソフトの入力作業に、こうした「計算に関係のない余計な取引」の入力まで加わると、手間が増えてしまいます。

事業用口座を開設し、その口座では「事業関係の取引だけ」を扱うようにすれば、会計ソフトには事業に必要な取引だけを入力すればよくなります。 これだけで作業時間が短くなります。

税理士に記帳代行してもらう場合

「面倒な会計入力は税理士に任せるから、口座は分けなくてもいいのでは?」

そう思う方もいるかもしれませんが、実は「別の負担」がでてきます。

税理士が代行する場合でも、プライベートの入出金は「事業主勘定」で処理しなければなりません。

しかし、税理士は通帳の取引先名を見ただけでは、それがプライベートなものか、事業のものかを判断できないことが多々あります。

そうなると税理士からあなたへ、頻繁に質問が来るようになります。

例:「〇月〇日のAmazonの引き落としは、備品の購入ですか?それとも私物ですか?」

例:「このお振込みは売上ですか?それとも個人的な入金ですか?」

税理士としても確定申告について全部を任されているとはいえ、確認なしに勝手な会計処理はできません。(トラブルの元になるため)

つまり、税理士からの質問に一つひとつ回答する手間が発生するのです。依頼人が回答するまで確定申告書を完成させられないため、申告作業全体の完了も遅れてしまいます。

さらに確認漏れなどにより、本当は経費になるものを「プライベートの支出」と勘違いして処理されてしまう可能性もゼロではありません。あとから気づいて訂正するのは大変な作業です。

一方で、事業用口座にまとめておけば、税理士は「この口座はすべて事業用」という前提でスムーズに作業を進められます。これなら質問のやり取りも最小限で済みます。

逆に、プライベート等の不要な取引が混ざっていると、その分だけ税理士の作業量は増えてしまいます。 

もし税理士の報酬体系が「仕訳数」や「作業時間」に比例する場合は、確定申告報酬が高くなってしまう可能性もあるので要注意です。

確定申告についての結論

自分でやるにしても、税理士に頼むにしても、「プライベートか事業か」という判断・回答の手間をなくすことが、効率化のポイントです。

そのためには、事業用口座一本にまとめることが最も効果的だと私は考えています。

ABOUT ME
やっぴー/佐田一紀
やっぴー/佐田一紀
税理士・CFP®認定者
岡山でフリーランス税理士として仕事をしています。「自由」が欲しくてフリーランスになった方向けに「AI・ITによる効率化」「お金の話」「PCガジェット」について情報発信しています!
記事URLをコピーしました